2020年1月から型式によって3段階に保険料を分ける”型式別料率クラス”が軽自動車にも導入されます。
”型式別料率クラス”をものすごく簡単に言うと、車が安全かどうかによって保険料が高くなったり、安くなったりする仕組みのことです。
厳密には車検証に載っているアルファベットや数字で表されている型式番号によってクラス分けされています。
そのため、同じ車種であってもクラスが違うこともあるのです!
安全で、事故率が低い軽自動車の保険料が安くなる
今のところ乗っている車によって保険料が違うという仕組みは、普通・小型自家用車のみに適用されています。
これまで軽自動車は”型式別料率クラス”が導入されておらず、すべての車が同じ保険料でした。
しかし、この決定を受けて損保各社は2020年1月に料金を改める予定となっています。
つまり、2020年からは”安全性能が優れ、事故率が少ない車”の保険料は安くなるということです。
そして”型式別料率クラス”の導入により、なんと軽自動車の保険料に最大で1万円ほども差が出ることになります。
保険選びだけでなく、軽自動車の選び方も重要に
この”型式別料率クラス”導入は、軽自動車の保険料が変わるということを意味していることは間違いありません。
しかし、もう少し想像をふくらませてみると、これから軽自動車を購入するときに注意しなくてはいけないことも見えてきます。
つまり、安全性能に優れていて、なおかつ保険料も安くなる軽自動車を選ぶ必要があるということです。
軽自動車の”型式別料率クラス”についてくわしく見ていきましょう。
そもそも、なぜ型式別料率クラスが導入されるのか?
自家用の軽自動車にも”型式別料率クラス”が導入されることになった背景には、軽自動車人気の高まりがあります。
自動車検査登録情報協会の”保有車両数総計に占める構成比の推移”を見てみると、軽自動車と普通車・小型車は同じ程度まで拡大してきていることが分かります。
そのため、”型式別料率クラス”を軽自動車にも導入し、公平な保険料にしようという狙いがあります。
現状ではまだ軽自動車のクラス分けや損保各社の新しい保険料といった情報が公表されていないため、損害保険料率算出機構の【自動車保険】参考純率改定のご案内(2016年11月24日に金融庁長官への届出)をもとに考察してみます。
型式別料率クラスとは
まず、今回導入される”型式別料率クラス”とは、すでに自家用普通車と自家用小型車に導入されている仕組みで、【自動車保険】参考純率改定のご案内(2016年11月24日に金融庁長官への届出)を見ると以下のように書かれています。
様々な形状・構造・装備・性能により異なる自動車ごとの特性やユーザー層等に基づくリスクの違いを総合的に評価するため、基本的な車両構造等に基づいて自動車を分類する公的な単位である「型式」(自動車検査証に記載)ごとの保険実績に応じて保険料を区分(自家用普通・小型乗用車の場合、9つのクラスに区分)しています
まず、型式ごとに車が本来持つ装備や用途、利用する人の年代などのデータを収集します。
そのデータと実際に支払われた保険金を基準にして【対人賠償責任保険】【対物賠償責任保険】【搭乗者傷害保険】【車両保険】の4つの項目についてクラスを9つに分けています。
クラスが大きくなるほど(9に近づくほど)リスクが高くなり、保険料も高くなるという仕組みです(※型式別料率クラスイメージ)。
型式別料率クラスイメージをみていただくと、三角の青い部分が保険料を表しており、クラスの上下によって保険料が変わることが分かると思います。
この損害保険料率算出機構が決めている型式別料率クラスをもとにして、各保険会社も保険料を決定するのです。
普通車・小型車の料金区分は9つですが、軽自動車の区分は3つになり、保険料の差は最大1万円程度の予想です。
料金体系はどうなるのか
では実際に料金体系はどうなるのでしょうか。
さきほどもお伝えしたとおり、まだこれからの制度で情報がありません。
そこで、すでにある自家用普通車・小型車の型式別料率クラス分けを見てみましょう。
まず”型式別料率クラス”は毎年見直しされるため、損害保険料率算出機構のHPに一覧は出ていません。
損害保険料率算出機構HPにある”検索シート”を使い、自分でメーカーや車名、または車検証の型式入力をして調べてみましょう。
たとえば、トヨタのプリウス(型式:ZVW55)の場合は以下のような結果です。
次に日産のセレナ(型式:HFC27)はこの結果です。
最後に、フォルクスワーゲンのザ・ビートル(型式:16CZDW)はこのようになります。
このように瞬時にクラスが検索できます。
基本的に、ワゴン車のような大きな車や盗難の危険性が高い高級車はクラスが高いようです。
また、スピードが出しやすいスポーツカーなどもクラスは高くなる傾向があり、逆にスピードを出す人が少ないコンパクトカーなどのクラスは低くなります。
車の安全性能に違いがなくとも、人気が高い車はそもそもの事故発生率が高くなる可能性もあり、クラスが上がってしまうかもしれません。
人気なども関わってくるため、正確に予想することはまず無理な話です。
しかし、【自動車保険】参考純率改定のご案内(2016年11月24日に金融庁長官への届出)を見てみると、安全性能の判断基準になる項目が分かります。
衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の装着の有無」によって保険料をさらに区分するため、新たな保険料係数(AEB装着あり係数0.91=9%割引、AEB装着なし係数1.00=割増引なし)を導入します※1。※1 保険料係数は、発売後約3年以内の型式に適用します
つまり、発売から3年以内の車で自動ブレーキありの場合、保険料が9%割引されるということです。
そして、その後は3年間で得られたデータが型式別料率クラスに反映されるため、割引なしのクラス別料金が適用されます。
現状、軽自動車は発売時期にかかわらず、自動ブレーキが装着されているすべての車が割引対象です。
2020年以降は”型式別料率クラス”が導入されるため、対象にならない車も出てくるでしょう。
また、クラスを分ける際に自動ブレーキの性能が関係してくることが予想されます。
はじめての車や2台目の車として軽自動車の購入を考えるときには、自動ブレーキを含めた安全性能の高さをしっかりと見極める必要がありそうです。
これからの軽自動車との付き合い方
2020年1月から軽自動車にも”型式別料率クラス”が導入されることにより、準備をしなくてはいけないことは以下のとおりです。
- ①いま乗っている軽自動車の保険料が2020年以降に上がる可能性がある
- ②これから軽自動車を買うなら、安全性能が高い車(特に自動ブレーキ付き)を選ぶ
- ③2020年1月以降に保険会社の料金を確認する
- (特に発売後3年経っている車のクラスと安全性能をチェックし、購入する車の参考にする)
- ④中古で軽自動車を買うときは型式を確認し、クラスや保険料を確認する
軽自動車の型式別料率クラス導入については、まだまだ不確定な要素が多いです。
しかし、軽自動車購入時の選択要素が増えることやリスクの大きさが簡単に分かるようになるのは、喜ばしいことだと思います。
今まで車を購入する際に保険料のことまで調べていなかったという方は、ぜひこの機会に保険料についても調べてみてはいかがでしょうか。
また、特に車を乗り換える予定がなかったとしても「保険料が高いな」と思っている方は、比較した上で切り替えるだけでも保険料が安くなることもあります。
無料の一括見積もりを使うことで、保険料を大幅に節約できるので一度試してみることをおすすめします。