高齢者はもちろんですが、歩行者との事故で相手を死なせてしまう可能性は誰にでもあるわけです。
楽しいカーライフも、死亡事故を起こせばそこでおしまい。もう二度と、心から楽しめるドライブなんてやってこないでしょう。
そんな悲しいことってないですよね。僕も車が大好きなので、そんな事態には絶対に陥りたくない。
そのためになにができるか?それは、自動ブレーキを中心とした安全性に優れた車に乗ることです。
自動ブレーキが優れた車を見分ける(比較する)方法として、JNCAPをご紹介します。
車の安全性能を客観的にテストするのがJNCAP
JNCAPは「自動車アセスメント」のことで、ようするに車の性能をアレコレ検査してチェックする独立行政法人のこと。正式には「自動車事故対策機構」といいます。
なぜこういった団体があるのかというと、車の安全性を公平にチェックするためです。
車の安全性能は、路面状況や天候によってかなり左右されます。たとえば雨が降っていたり、昼間と夜間では試験結果がまるで変わったりするからです。
つまり、自動ブレーキなどの検査においては、なるべく検査時の条件を合わせないといけないんですね。
これを各メーカーに任せていては、同じ条件下で検査するのはむずかしいことは想像できると思います。
つまり、JNCAPがあるおかげで、各メーカーのあらゆる車種の安全性が同条件で比較試験できるというわけです。
JNCAPが検査するのは「衝突安全」と「予防安全」
ざっくり説明すると、JNCAPでは「衝突安全」と「予防安全」の2つについて試験をおこなっています。
- 「衝突安全」
- ▷ 車が衝突したときの安全性を見る
- 「予防安全」
- ▷ 車や歩行者への自動ブレーキ性能などを見る
一昔前は、予防安全という考え方がほとんどなかったんですよね。というより、技術的に実現するのがむずかしかったわけです。
自動ブレーキや誤発進抑制機能は、前からあるにはあったけど、本格的に普及してきたのはここ数年のことです。
それに比べて、衝突安全というのは車の骨格を強くしたり、衝突時のシートのクッション性能を上げたりすることなので、わりと昔から取り組まれていました。エアバッグも衝突安全の一つですね。
衝突安全はもちろん大切なんですが、ここ数年でもっぱら話題になっているのは自動ブレーキを中心とした予防安全です。
事故原因として多いのが安全確認不足や脇見運転ですが、こうした原因で起こる事故は自動ブレーキで大幅に減らせる可能性があります。

JNCAPの最大の見どころはYoutubeの「試験動画」
JNCAPは数値による安全性能のランク付けをおこなっており、それが車を選ぶときの指標としても役立っています。
ただ僕がそれ以上に参考にしているのが、試験動画です。
JNCAPが衝突安全と予防安全について実際におこなった試験の動画そのものを見ることができます。しかも、Youtubeで視聴可能というアクセスのしやすさ!
たとえばこれは、ホンダ・N-BOXの前面衝突試験です。
いかがでしょうか。迫力満点じゃないですか?
こんな感じで、JNCAPは試験の映像をそのまま見せてくれるわけです。
もちろん、自動ブレーキの試験結果も見ることができます。以下はホンダのセダン・インサイトの試験動画です。
カタログの盲信はNG 。JNCAPの動画で確認すべし
「衝突軽減ブレーキ搭載!」と謳った車をよく見かけるようになりました。
それ自体は素晴らしいことなんですが、残念なのは「実態が伴ってない車種が多い」ということ。
つまり、機能としてはついているんだけど、実際のところ歩行者との衝突を回避してくれるわけじゃない、という車が多いんです。
メーカーとしてはあまり大々的にアピールしすぎると、死亡事故が起きたときのダメージが大きいことがわかっているから、控えめな訴求になっているんだと思います。
実際、メーカーのカタログやウェブサイトを見ると「自動ブレーキ」という言葉は使われず、あくまでも「衝突軽減ブレーキ」とか「イマージェンシーブレーキ」などという表現しかしていません。
これはつまり、万が一のときに100%事故を防ぐわけじゃないですよ、と言っているわけです。
仕方ないとは思うんですが、「車とか歩行者に対するブレーキが付いてるから安心」と思わせておいて、実際には性能がまったく伴ってない車種が多すぎるんですよね。
だからこそ、JNCAPの動画を実施に自分の目で見て、本当にその車の自動ブレーキ性能で事故を防げるのか?というのを確かめるべきだと思います。
自動ブレーキもいいけど、衝突安全もよくチェックすべき
最近は自動ブレーキに注目があつまりがちですが、僕は衝突安全の良し悪しも必ずチェックするようにしています。
なぜなら、車の事故は自分が100%の注意を払っていても、他人の不注意で事故に巻き込まれることも多いからです。
完全な自動ブレーキにあなたが乗っていても、対向車が車線をはみ出して突っ込んできたらどうでしょうか?もう防ぎようがないですよね。
つまり、自分では防ぐことができない事故に対する備えとして、衝突安全性が非常に重要だということです。
衝突安全は大きくわけて「前方」「横(側面)」「後方」の試験が行われます。そのいずれもJNCAPの試験動画で見ることができるので、チェックしてみてください。
僕としては、最近サイドエアバッグの重要性を感じています。まだ搭載車種は少ないんですが、側面からの衝突が起きたときにサイドエアバッグが開くかどうかで、乗員の被害は大きく左右されると思うんですよね。
下記はN-BOXとN-VANの比較動画なんですが、N-VANにはサイドエアバッグがついておらず、ガラスの破片が乗っている人へモロに降かかっているのがわかります。
こんな感じで、実際の動画を見ないとなかなかわからない安全性能を目にすることができるのが、JNCAPの魅力です。
自動ブレーキ性能は「メーカー選び」から始めよう
これから車を買うのであれば、自動ブレーキ性能が高いクルマを選びたいですよね。
選択肢が豊富すぎると、どれを選べばいいかわからなくなるんですが、僕はメーカー選びから始めるのをおすすめします。
というのも、自動ブレーキ性能はメーカーによってある程度良し悪しが分かれているからです。
以下のメーカーの最新車種であればおおむね安全性は高いです。
- ▷ トヨタ
- ▷ 日産
- ▷ ホンダ
- ▷ スバル
- ▷ マツダ
- ▷ ボルボ
- ▷ メルセデス・ベンツ
もちろん車種ごとに差はありますが、これらの自動車メーカーはおおむね自動ブレーキ搭載車種が多く、最新モデルを選んでおけばハズレはないです。
ここでは一例として、ホンダの安全技術である「Honda SENSING」について、機能の一覧をご紹介します。
Honda SENSINGの予防安全 | |
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渋滞追従機能付ACC | ▷加速・減速し、適切な車間距離をキープ ▷前走車が止まれば合わせて停車 |
衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉 | 車両、歩行者、自転車に対応。自転車対応はHonda車で初 |
車線維持支援システム | 高速道路走行中、車線の中央を維持する |
誤発進抑制機能 | アクセルを踏み込んだ場合の急加速を抑制 |
歩行者事故低減ステアリング | 路側帯を歩く歩行者との衝突回避のための支援 |
路外逸脱抑制機能 | 車線をはみ出しそうになるのを防ぎ、車線内へ戻す |
先行車発進お知らせ機能 | 前走車の発進を音とディスプレー表示でお知らせ |
標識認識機能 | 道路標識をディスプレー表示し、標識への注意を促す |
後方誤発進抑制機能 | アクセルを踏み込んだ場合の、急な後退を抑制 |
オートハイビーム | 夜間走行時、ハイビームとロービームを自動で切り替え |
Honda SENSINGの衝突安全 | |
---|---|
サイドエアバッグシステム | 前席/後席対応。カーテンエアバッグも |
転席用&助手席用i-SRSエアバッグシステム | 「早く」「やさしく」「長く」ふくらんで、さまざまな体格や衝突状況に対応 |
衝突安全設計ボディー | 衝突時の衝撃(G)を制御する安全技術「G-CON」採用 |
プリテンショナーELRシートベルト | 衝突時、瞬時にシートベルトを引き込んで体を固定 |
頚部衝撃緩和フロントシート | 後方から低速で追突された際に、首への負担を軽減する |
後席シートベルト締め忘れ警告灯 | ルームミラー上部のランプでお知らせし、シートベルトの着用を促す |
一方で、以下のメーカーについては対歩行者の自動ブレーキ性能が低く、不安が大きいです。
- ▶ スズキ
- ▶ ダイハツ
- ▶ 三菱自動車
これらも、JNCAPのサイトを見ることで比較しやすくなりますから、車を選ぶときはあらかじめ目を通しておくべきでしょう。
個人的におすすめの「自動ブレーキ搭載車」

画像:ホンダ公式サイト
僕が個人的におすすめしたい、自動ブレーキ搭載の車種をご紹介します。
- ▷ ホンダ・N-WGN
- ▷ スバル・レヴォーグ
- ▷ 日産・セレナ
まずいずれの車種も自動ブレーキ搭載で、衝突安全性も高くなっています。
なかでもイチオシなのが、N-WGNです。N-WGNは、現状の軽自動車では頭一つ飛び抜けている感じで、特に渋滞時の自動追従が素晴らしいです。
渋滞時のブレーキおよびアクセルスタートを自動で行ってくれるので、ストレスが大幅に軽減されます。
セレナやレヴォーグも同様の装備はついていますが、軽自動車で価格の安さを併せ持つメリットを考えると、N-WGNの天下はしばらく続くかもしれません。

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