車を運転する自分はもちろんですが、自動車保険を選ぶなら同乗者の補償にも気をつけたいところ。
車の保険でもっとも重要と言われるのが「対人賠償保険」です。この保険は文字通り「人」に対しての補償が受けられます。
しかし、その補償範囲をしっかりと理解しておかないと、いざ事故を起こしたときに補償が受けられないことがあります。
対人賠償保険で車の同乗者は補償されるのでしょうか?
対人賠償保険の範囲とは?
結論からいうと、対人賠償保険の範囲は「他人」です。
まず勘違いする人が多いのですが、対人賠償保険では自分の家族が同乗していても補償されません。
「対人」という言葉から「人がケガすれば補償してもらえるんでしょ?」と考える人は少なくありません。
そもそも、対人賠償保険とは「他人」を補償するための保険なのです。
車の事故を起こしたときの歩行者や相手方の車の搭乗者を補償するのが、対人賠償保険の基本です。
ですから、対人賠償保険は「自分や家族」のケガなどに対して保険金は支払われません。
対人賠償はあくまでも歩行者や相手の車を運転している人が補償の対象になると考えてください。
これは自賠責保険も同じで、車の被保険者(自分)は補償の対象にならないのです。自賠責保険だけで任意保険に入っていない(無保険)人は、同乗者の補償がまったく受けられないので注意が必要です。
同乗者を補償してくれる自動車保険は?
さきほど説明したとおり、対人賠償でも同乗者のケガを補償することはできません。
事故を起こして、車に乗っている同乗者がケガをした場合にはどの保険が補償してくれるのでしょうか?
同乗者のケガには以下の保険を適用することができます。
- ・自賠責保険
- ・人身傷害補償保険
- ・搭乗者傷害保険
- ・自損事故保険
繰り返しになりますが、対人賠償保険はあくまでも「他人」を補償するための保険です。
自分の家族以外の人が”他人”となるため、友人・知人などは対人賠償保険で補償されます。
ただし、自賠責保険については自分以外の家族は他人に含まれます。たとえば、駐車場で誤って自分の子どもをひいてしまった場合、自賠責保険の対人賠償で補償することができます。
ややこしいですが、自賠責保険と任意保険では対人賠償保険の定義(補償の範囲)がちがうので注意が必要です。
対人賠償保険で補償される他人とは?
たとえば、あなたと友人2人(全員で3人)を乗せていたとしましょう。乗っているのはあなたの車です。
このときに電柱に激突するという単独事故を起こした場合にはどうなるでしょうか?
まず、運転しているあなた(被保険者)は先述したように対人賠償保険は利用できません。
そして、それ以外の2人の友人は「他人」として扱われるため、対人賠償保険を利用することができます。
ちなみに、自分のケガは人身傷害保険を使って補償するのが一般的です。
対人賠償保険で家族が補償されないケース
さきほどの車(あなたと友人2人)に加えて、自分の配偶者(妻)を合わせた合計4人が乗っていた場合はどうでしょうか?
つまり、あなた・妻(身内)・他人2人の計4人というケースです。
単独事故では自分(被保険者)の家族は対人賠償保険の対象外なので、配偶者(妻)には保険金は支払われません。
それ以外の友人2人は「他人」ですので、先ほどと同じように保険金が支払われます。
同乗者を広く補償するにはどうすればいい?
このように、対人賠償保険には細かい決まりがあります。
これらの仕組みを理解しておかないと、同乗者の死傷に対して保険金が受け取れないことがあるので注意しましょう。
自分以外の同乗者を広く補償してもらうには「人身傷害保険」に加入してきましょう。
人身傷害保険は自分と同乗者を広く補償してくれる保険です。自分の車の同乗者が事故で死傷したときに利用することができます。
人身傷害保険では家族や他人といった考え方がなく、同乗している人すべてが補償の対象になります。
まとめると、以下のようになります。
- ・対人賠償保険
- ⇒「他人」を補償する保険
- ・人身傷害保険
- ⇒自分を含め、同乗者を広く補償する保険
「人」に対する保険について、しっかり区別をしておけばムダな保険に入ることを防ぐことが可能です。
また、知っておかないといざというときに保険を利用できないので、きちんと理解しておきましょう。
対人賠償保険は自動車保険に自動でセットされていることがほとんどです。
人身傷害保険をどのように保険に組み込むかがポイントになるといえるでしょう。自動付帯とはなっていないため、自分で選ぶ必要があります。
できるだけムダなく、効率的に保険を選ぶには一括見積りが便利です。
人身傷害保険をセットすると保険料が高くなりますから、保険会社をきちんと比較して安くてお得な自動車保険を選ぶようにしましょう。
同乗者への補償を考えるのであれば、さまざまな保険を比較して、自分に合った保険を見つけたいですね。