自動車のボディにはさまざまなタイプがあります。その中でも「クーペ」と「セダン」は戦前から存在し、長い歴史を持ちます。
今回は、クーペとセダンの違いがどこにあるのかを、わかりやすく解説します。
クーペとセダンの呼び名の由来の違いは?
まずはじめに、クーペとセダンの呼び名の由来の違いについて解説しましょう。
クーペの呼び名の由来
馬車の全盛時代、フランス語で「カロッス・クぺ」(切られた馬車)と呼ばれる1列シートの屋根付き馬車がありました。
その後、呼び名が「切られた」を意味する「クぺ」に短縮されました。
そして、自動車の時代が到来してからは、前席の居住性を最優先したタイプをクぺと呼ぶようになりました。
つまり、運転席と助手席の乗り心地を大事にしているのがクーペというわけです。
日本においては「クーペ」と呼ばれ、1960年代に車のカテゴリーのひとつとして定着しました。
セダンの呼び名の由来
かつて、イタリアに「セダンチェア」と呼ばれる、箱型の駕籠(かご)のような乗り物がありました。
そして自動車が発明されると、2列のシートを持つ箱型の車を、セダンチェアを短縮した「セダン」と呼ぶようになりました。
日本においてもセダンという呼び方が一般的ですが、セダンを指す英語である「サルーン」と呼ばれることもあります。
このように、クーペは馬車由来、セダンは駕籠(かご)由来という違いがあるのは、興味深いところです。
クーペのボディ形状
クーペのボディ形状には、以下のような種類があります。
- ・2ドアクーペ
- ・3ドアクーペ
- ・4ドアクーペ
- ・フィクスドヘッドクーペ
- ・ドロップヘッドクーペ
2ドアクーペ
「2ドアクーペ」は、2枚の乗降用ドアと独立したトランクルームを持つタイプです。
クーペの基本形ともいえるものですが、現在は少数派になっています。
3ドアクーぺ
「3ドアクーぺ」は、2ドアクーペのボディ後部に開閉可能なバックドアを設けたタイプで、現在はクーペの主流になっています。
4ドアクーペ
「4ドアクーペ」は、4枚の乗降用ドアを持つ点は後で述べる4ドアセダンと同じであるものの、ファストバックの流麗なスタイリングを持つことが特徴となっています。
フィクスドヘッドクーペ
「フィクスドヘッドクーペ」は、もともとオープンモデルとして開発された車に、金属や強化プラスチックなどの硬質素材でできた屋根を付けたタイプです。
ドロップヘッドクーペ
「ドロップヘッドクーペ」は、内張り付きの幌が備わるオープンモデルを指します。
セダンのボディ形状
一方、セダンのボディ形状には以下のような種類があります。
- ・3ボックス型2ドアセダン
- ・3ボックス型4ドアセダン
- ・3ボックス型5ドアセダン
- ・2ボックス型2ドアセダン
- ・2ボックス型4ドアセダン
「3ボックス型2ドアセダン」「3ボックス型4ドアセダン」
「3ボックス型2ドアセダン」および「3ボックス型4ドアセダン」は、ボンネットフード/キャビン/トランクフードの3つの箱を合わせたスタイリングを持っています。
かつて多く見られた2ドアは少数派になり、現在はほとんどが4ドアになっています。
3ボックス型5ドアセダン
「3ボックス型5ドアセダン」は、3ボックス型4ドアセダンのボディ後部に開閉可能なバックドアを設けたタイプです。
かつてはわずかに採用例がありましたが、現在はほとんど見られなくなりました。
「2ボックス型2ドアセダン」「2ボックス型4ドアセダン」
「2ボックス型2ドアセダン」および「2ボックス型4ドアセダン」は、3ボックス型と異なり、トランクフードを持たない短いボディを特徴とします。
現在は、バックドアが備わる「ハッチバック車」「コンパクトカー」などと呼ばれるタイプに取って代わられ、ほとんど見られなくなりました。
クーペとセダンのボディ形状の違いをまとめると、以下のようになります。
- ・クーペはスタイリング重視
- ・セダンはパッケージング(居住スペースや荷室スペース)重視
クーペとセダンの室内の違いは?
次に、クーペとセダンの室内に違いについて解説します。
クーペは運転席と助手席を重視
まず、クーペは前席の居住性が最優先で、後席がない車種もあります。
後席がある場合も、スタイリング優先の影響で頭上やひざ元の空間がセダンよりも小さく、居住性の点で劣ります。
乗車定員は、2名/4名/5名のいずれかとなります。
セダンはどの座席も乗り心地が良い
一方、セダンは必ず後席があり、居住性も前席に劣らないものがほとんどです。
乗車定員は、4名/5名/6名のいずれかとなります。
クーペとセダンのどちらを選ぶべきか?
最後に、クーペとセダンのどちらを選ぶべきかについて述べます。
まず、家族持ちの人がファミリーカーとして使うなら、居住性や使い勝手に優れたセダンの方が向いています。
クーペは後席や荷室のスペースが狭いうえ、乗降用ドアが2枚しかないタイプは後席への乗り降りが大変なので、ファミリーカーには向いていません。
一方、独身の人やディンクス(子供のいない夫婦)の人なら、スタイリング重視でクーペを選んでも、実用面で大きな不満を感じないはずです。
ただ、2ドア/3ドアクーペの場合はドアが長いので、狭い駐車場での乗り降りはちょっと大変です。
また、後席に荷物をのせたい場合も不便なので、ある程度の割り切りは必要でしょう。
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