車を長く運転していると、いつかは買い替えや廃車のタイミングがやってきます。
「どのタイミングで廃車にすればいいのだろう?」と悩んでる人もいることでしょう。
廃車にする前に知っておきたい「適切なタイミング」について解説します。
費用を節約できたり、反対に余計な出費で損をする可能性もあるので、廃車のタイミングには注意が必要です。
廃車にはどんなタイミングがある?
車を廃車にするタイミングはさまざまですが、ここではおもに6つのポイントに絞ってご紹介します。
- 1. 車の買い替えに合わせて廃車
- 2. 走行距離による廃車
- 3. 事故による廃車
- 4. 経年劣化による廃車
- 5. 引っ越しのタイミングで廃車
- 6. 自動車税の支払い前に
1. 車の買い替えに合わせて廃車
やはり最も多いのは「車の買い替えに合わせて廃車にする」というケースです。
車の状態にもよりますが、基本的には車の買い替えに合わせて下取りや売却をすることがほとんどです。
本来であれば、下取りや売却をして、その資金を次の車に充てたいところですよね。
しかし、走行距離の限界や内外装の劣化が見られると、廃車にするしかない場合もあります。
注意したいのは、自分の判断だけで廃車にしてしまうことです。
自分にとっては廃車同然のボロボロであっても、じつは業者から見ればお金を出してでも買い取りたい車である可能性があります。
そのため、廃車にする前に必ず買取業者に査定してもらうようにしてください。
廃車業者に持ち込んで手数料を払うというの1つの選択肢ですが、車買取店で買い取ってもらうケースもあるので見積もりを出してもらってからのほうが良いでしょう。
おすすめとしては、
- ① 車買取店に査定してもらう
- ② 値段がつかなければ、廃車買取専門店へ
- ③ それでもダメなら解体業者へ
という流れです。
車の状態が悪くて「いや、これはどう考えても廃車だろう」と思っても、まずは車買取店に査定してもらってください。
解体業者に持ち込むと、解体費用などが発生することがほとんどなので、とてももったいないです。
車買取店で仮に5万円しか値段がつかなかったとしても、解体費用がかかってマイナスになるよりよっぽど良いですよね。
持ち込み厳禁?廃車を解体業者に持ち込むまえに試すべき3つのこと
2. 走行距離による廃車
走行距離の限界というのは、わかりやすくいえば、エンジンや各種パーツに不具合が発生している状態です。
車に愛着があったとしても、やはり現実的なコスト(修理や部品交換の費用)を計算しなくてはいけません。
故障の修理に多額の費用がかかるのであれば、廃車にしたほうが安く済むことがあるからです。
部品の不具合にもいろいろありますが、たとえばエンジンは「タイミングベルト」という部品の消耗・損傷によって廃車やむなし、という場合があります。
タイミングベルトにはエンジンのピストンとバルブを交互に動かす役目があります。
タイミングベルトが切れると、
- ・エンジンが動かなくなる
- ・修理に数十万円かかる
という結果になります。
交換の目安は8万キロ、購入から10年後とされています。
タイミングベルトの交換には多額の費用がかかるため、廃車にするケースが多くなるのです。
いま乗っている車が交換のタイミングに差し掛かっているのであれば、交換するか買い替えを検討する時期にあると考えましょう。
3. 事故による廃車
事故を起こしてしまうと、見た目(外装)はもちろん各部位が大きく損なわれます。
自動車保険を使って修理できればいいのですが、そのぶん等級が下がり翌年の保険料が上がってしまうので、余計な費用がかかります。
(等級の仕組みについては「初年度でも安い自動車保険を見つける方法」でわかりやすく解説)
そのため、新車や高級車でない限り、廃車にしてしまった方が良いケースもあるのです。
ポイントとなるのは、高い保険料を払ってまで乗る価値があるかどうか。
低年式車(乗ってから5年以上経っている)の場合には廃車を考えても良いでしょう。
事故で車が使えなくなったタイミングで廃車にする人は多くなっています。
事故車になってしまったとしても、適切な方法で売却すれば値段がつく可能性は十分にありますから、この場合も「即廃車」と判断するのは避けたほうが良いです。

4. 経年劣化による廃車
車庫などで放置されている車は、経年劣化が進んでいて使い物にならないことがあります。
乗る機会がほとんどなくて放置されている車はエンジンが動かなくなっていることもあるからです。
エンジンの不具合も問題ですが、さらに気をつけなければいけないのは「車検切れ」です。
車検が切れてしまうと公道を走ることができなくなるので、廃車にしようとしても解体屋に持ち込むことができません。
その場合にはレッカーを使うことになるので、廃車にかかる費用は割高になるので注意が必要です。
ただし、車買取業者のなかには自宅まで無料で引き取りに来てくれることがあります。
廃車に費用をかけたくない!という人は、引き取り無料の業者に査定してもらうのがおすすめです。
5. 引っ越しのタイミングで廃車
転勤や転職などさまざまな都合で引っ越しをするタイミングでも廃車にする人が多いです。
特に転勤や出張で長い期間車に乗っていない場合には、所有しているだけで費用がかかります。
なぜなら、車は運転の有無に関係なく自動車税、保険料、駐車場代などのコストがかかるからです。
しかし、廃車にすればこうしたムダな費用を節約できます。
一時的に登録を消す「一時抹消登録」という方法もあるので、廃車にしたくない人はこうした方法を選ぶこともできます。
一時抹消登録をすると公道を走れなくなりますが、再申請をすればまた走れるようになります。
使わない車を保管するときの注意ポイントとは?抹消登録のちがい
引っ越しのタイミングで廃車にする場合、本当に車が不要なのかをよく検討する必要があります。
なぜなら、転勤が短い期間でありますよね。また、将来的に結婚したり、子どもが生まれる可能性もあるなら、廃車にせず取っておいたほうがいいからです。
いまだけではなく将来的な面も意識しながら廃車のタイミングを考えましょう。

6. 自動車税の支払い前で廃車
自動車税は毎年かかる税金です。
車の車種や排気量によっても変わりますが、その税負担はなかなかのものです。
(⇒車の税金は排気量で変わる!自動車税・超入門)
排気量で変わる自動車税は、以下のように排気量が増えるほど税額が高くなります。
乗用車の自動車税(年額) | |
---|---|
排気量 | 税額 |
1リットル以下 | 29,500円 |
1リットル超 1.5リットル以下 | 34,500円 |
1.5リットル超 2リットル以下 | 39,500円 |
2リットル超 2.5リットル以下 | 45,000円 |
2.5リットル超 3リットル以下 | 51,000円 |
3リットル超 3.5リットル以下 | 58,000円 |
3.5リットル超 4リットル以下 | 66,500円 |
4リットル超 4.5リットル以下 | 76,500円 |
4.5リットル超 6リットル以下 | 88,000円 |
6リットル超 | 111,000円 |
一般的な車は排気量が2リットル(2,000cc)前後なので、極端に高くなることはないはず。
ただ、6リットル超にもなると1年間で10万円以上の自動車税が発生します。ヤバイですよね…。
なお、自動車税は毎年4月1日時点の車の所有者に対して支払い義務が発生します。
そのため、4月1日前のタイミングで車を手放そうとする人が多くなるので2月・3月は中古車市場が活況なのです。
同じように廃車も、この時期に合わせて増加する傾向にあります。
2月、3月は車が高く売れるタイミングでもあるので、廃車の前に査定してもらうようにすべきです。
いずれにしても、自動車税がかからない廃車のタイミングは4月1日以前と覚えておきましょう。

大切なのは「いかにして廃車を回避するか」
ここまで廃車のタイミングについて紹介してきましたが、どんなタイミングであれ廃車には費用が発生することがほとんどです。
たとえ廃車と引き換えにお金がもらえたとしても、その金額は多くありません。
最も避けたいのは買取業者に査定に出せば値段がつくのに、廃車だと思って解体業者に持ち込んでしまうことです。
数万円から場合によっては10万円以上のお金になるはずだった車は、廃車に出してしまうと逆にお金を払わなければいけなくなるのです。どう考えても損ですよね。
まず廃車という結論を出す前に、ぜひ一括査定などを使って愛車の査定を頼んでみてください。
1社や2社の査定では見つからない買い手も、一括査定で数十社にまとめて見積りを出してもらえるので、見つかりやすくなります。
廃車前にぜひ一度活用してみることをオススメします。
廃車の費用を払わなくて済むうえに、車を売却することで手元に現金が入る可能性も十分にありますよ。
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車買取業者と廃車専門業者はなにがちがうのか?
気になっている人も多いと思うので、車買取業者と廃車専門業者のちがいについて触れておきましょう。
ひとことでいうと、車を引き取ったあとの、稼ぎ方がちがいます。もっと細かくいえば、引き取った車をそのまま売るのか、手を加えるのかの違いです。
- ▷ 車買取業者
- 買い取った車を業者オークションに出したり、店舗で販売して利益を上げる
- ▷ 廃車専門業者
- 買い取った車を解体して金属にし、それを業者に売って利益を上げる
- (車を修復して海外などの販売ルートで売りに出すこともある)
ここで知っておきたいのは「車買取業者と廃車専門業者は、どっちが愛車を高く売れるか?」ということです。
結論からいうと、車買取業者のほうが転売したときの利益が大きいので、そのぶんお客さんから車を買い取るときの金額も高くなりやすいです。
廃車専門業者は手数料や資源リサイクルを提供することで利益を生むビジネスですから、正直なところ取り分が多いとはいえません。
このように、利益が生まれる仕組みを理解すると、より「廃車よりも先に買取業者に査定してもらうべき」という理屈がおわかりいただけると思います。