新車の購入を検討していると、「未使用車」という言葉が気になってくると思います。
そもそも未使用車とは何なのでしょうか?
新車の未使用車について、メリットとデメリットをわかりやすく解説します。
未使用車とは?その意味について
まずは未使用車の意味について見ていきましょう。
未使用車とは、新車登録済みだけど走行距離が非常に短く、年式もあたらしい車のことをいいます。
「新車登録済み」なので、厳密にいうと未使用車は新車ではなく中古車という扱いになります。
未使用車は、ほぼ新品の状態の車で走行距離も少なく、なおかつ誰にも所有されていない(正確にはディーラーが所有していた)車なのに、新車価格よりも安く購入できるメリットがあります。
「新車が欲しいけど、ちょっと高いから手が届かない…」という人に、未使用車はピッタリなのです。
なぜ未使用車は生まれるのか?
ここで疑問に思うことがあるはずです。それは「どうして未使用車が発生するのか?」ということ。
じつは市場に流通している未使用車のほとんどは、自動車メーカーのディーラー(販売店)名義として一度登録されたものです。
つまり、新車として販売されていた車を、販売店がみずから新車登録して未使用車にするということです。
販売店が実績をつくるために未使用車が生まれる
なぜそんなことをするのか?それは、ディーラーが売上実績を上げるための裏技だから。
販売店の売り上げというのは、なにで計算されるかというと「新車登録台数」でカウントされます。
新車登録とは、運輸支局に「この車はあたらしく新車として道路を走りますよ」という届け出をすることを指します。
たとえば販売店が「今月の目標は50台。そろそろ月末なのに、まだ40台しか売れてない」という状況になったとしましょう。
そうなると、目標を達成するために残り10台を新車登録して、売り上げを立てなければいけません。さて、どうするか。
そうです、そんなときに販売店は自分たちで新車を10台買って、新車登録するわけです。そうすれば、目標の50台を達成できますよね。
このような理由で未使用車は生まれていくのです。
販売店は自動車メーカーから報奨金がもらえる
シンプルに毎月の目標を達成することも販売店にとっては大切ですが、それ以上に重要なことがあります。それは、自動車メーカーからもらえる「報奨金」です。
販売店は目標台数を達成すると自動車メーカーから報奨金をもらえることがあります。
その報奨金は販売店にとって大きなもので、未使用車をつくってでも手に入れたいものなのです。
ちなみに、未使用車となった車は、ほかの中古車販売店などに売却します。新車よりも少し安い金額で売ることになるわけです。
そうなると販売店が損するだけのようにも思えますが、報奨金はそれ以上に大きいので、未使用車にするメリットは十分にあるわけですね。
未使用車にはどんなメリットがある?
さて、前置きが長くなってしまいました。ここからは未使用車を買うメリットについて見ていきましょう。
- 1.ほぼ新車なのに数十万円安く買える
- 2.車検の残りが長い(ほぼ3年間)
- 3.納期が早いのでスグに乗れる
- 4.新車と同じようにメーカー保証が受けられる
1.ほぼ新車なのに数十万円安く買える
未使用車を買う最大のメリットは、やはりその安さ、お得感にあります。
たとえば、通常は新車価格で300万円の車でも、未使用車になるだけで270〜290万円程度で買うことができます。
その浮いた分のお金は他のことに使えるわけですから、車用品を買うも良し、生活費に使うのもアリですね。
2.車検の残りが長い(ほぼ3年間)
新車の車検は新車登録日から3年後です。未使用車は、新車登録日からほとんど時間が経っていませんから、ほぼ丸々3年間は車検を受ける必要がなくなります。
中古車だと車検の残りはバラバラで、場合によっては買ってからスグに車検を受けなければいけないケースもあるでしょう。
車検代は10万円以上かかることがほとんどですから、未使用車に乗ることで車検代を節約できるメリットもあるのです。
3.納期が早いのでスグに乗れる
新車はボディカラーや内装を自分で決めて、さらにはオプションを付けることもあるでしょう。
そうなると、ほとんどの新車は納車までに時間がかかります。短くて2週間〜1ヶ月。長いと半年待ちなんてこともあります。
せっかく車を買うんだからスグに乗りたいと思うのは誰しも一緒ですよね。
未使用車の場合は納車待ちがほとんどないので、買ってからスグに乗ることができます。
4.新車と同じようにメーカー保証が受けられる
車には大きく分けて以下の2つの保証があります。
- ・メーカー保証
- ・販売店保証
このうち、より保証が手厚いのはメーカー保証です。メーカー保証はトヨタ、日産、ホンダなどのメーカーが、万が一の故障時に修理費用を負担してくれるというもの。
未使用車の場合、新車とほとんど同じ状態ですからメーカー保証を受けることができます(ただし、「保証継承」が必要)。
メーカー保証は車全体のトラブルをまとめて保証してくれるうえに、保証期間も長い(たとえば10年間など)ので、安心感があります。
一方、これが普通の中古車だと話は変わって販売店保証しか受けられません。
販売店保証とは、いわば中古車販売店が独自に行っている保証です。販売店によって保証内容はちがいますが、正直あまりアテになりません。なぜなら、
- ・購入してから1000kmまでは保証
- ・購入してから半年後までのトラブルに対応
といった程度の保証しか受けられないからです。
中古車は故障のリスクが高いですから、保証が受けられないのは少し不安でもあります。
未使用車のデメリットは?
いいことづくめに思える未使用車ですが、デメリットはないのでしょうか?
正直なところ、未使用車のデメリットはほとんどありません。強いて挙げるとすれば以下の2つです。
- 1.新車のように自分好みに選べない
- (ボディカラー、内装、オプションなど)
- 2.未使用車の流通は少なめ
未使用車は、言ってみればすでに完成された車ともいえます。新車のように自分の好みを反映させることはできません。
また、特に人気車種になると未使用車はあっという間に売れてしまうので、手に入れるのがむずかしい場合があります。
いずれも小さなデメリットではありますが、未使用車を買うなら以上の2点には注意したほうが良いでしょう。